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キャリアバンク株式会社 佐藤社長インタビュー Part3

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2025-03-19
キャリアバンク株式会社 佐藤社長インタビュー Part3
日本語学校の卒業式の写真
(写真中央が佐藤社長)
佐藤社長のお話を伺っている中で、昔の労働市場では「キャリアアップ」という言葉はなく、「転職=負け犬」というようなイメージや実情があったと理解しました。しかし現在は状況が変わりつつあるとのことですね。私の印象では、アメリカなど海外では転職はキャリアアップの一環として国民に定着しているイメージがありますが、佐藤社長がその考え方を日本に持ち込まれたのではないかと感じました。
いえ、それは違います。
例えば、アメリカでは企業の雇用政策の一つとして「定着支援」があります。アメリカでは転職によってキャリアやポジション、給与を上げる方法論が確立されていますが、それと同時に、企業側は従業員に長く働いてもらうための定着施策を多く講じています。一方で、日本では長期雇用を前提として就職する文化がありました。最近は転職が増えてきましたが、入社時には企業側も労働者側も「できるだけ長く勤めたい」と考える傾向がまだ強いのが現状です。
日本では「ジョブホップ(短期間での転職)」が増えてきました。しかし、日本におけるジョブホップはアメリカのものとは本質的に異なります。アメリカではキャリア形成のために転職を行いますが、日本では「給料が高い」「職場が近い」「残業が無い」といった要因で転職するケースが多く、労働の本質とは異なる理由が転職の動機になっています。そのため、日本の労働力の質と量は低下し続けています。政府は労働力の質が向上していると考え、ITやAI、DXといった技術を推進していますが、これらの技術は世界中のどの国も使っているため、それ自体が競争力の差にはなりません。結局、技術を使う「人材の質」こそが競争力を生むのです。しかし、日本では「働き方改革」が原因となって人材の質が低下し、結果としてアジア諸国にも差をつけられてしまっています。
この「質の低下」の主な原因は専門性の欠如です。本来、転職はキャリア形成の手段であるべきですが、結果として労働の本質と逆行してしまっています。そのため、アウトプットの質も確実に低下し、若い世代ほど自身の能力を伸ばせていないのが現状だと思います。
先ほど外国人労働者の話が出ましたが、都内の建築現場では現場監督が日本人で、それ以外の作業員はほぼ外国人というケースもあると聞いています。現在、御社で紹介されている外国人労働者の出身国はどこの国が多いのでしょうか?また、その傾向は変化してきていますか?
時系列で見ると、中国、タイ、ベトナムという順番で増えてきました。現在、日本国内で最も多い外国人労働者はベトナム人と中国人ですが、この2カ国の労働者は今後着実に減少していくでしょう。
一方で、最近増えているのはインドネシア人です。さらに、ミャンマー、カンボジア、ネパール、スリランカなどの国からの労働者も増加しています。これらの国の賃金はまだ低く、日本で働いて稼ぐことが可能です。加えて日本は人手不足の為に、特定技能によって外国人の就労に積極的な規制緩和を行っていますので、急速に増えていくことになります。
日本語学校の運営当初と比べて、日本に魅力を感じて日本語を学びたいと考える人は増えているのでしょうか?それとも減っていると感じますか?
私が運営している日本語学校には現在、約20カ国から学生が集まっていますが、一番多いのはネパール人です。
これは日本の問題というよりも、各国の発展度合いによるものです。例えば、中国やタイ、ベトナムは経済が発展し、自国で稼げるようになりました。また、教育熱心な国は日本語学習者が多い傾向があります。中国、韓国、香港、シンガポールなどは教育を重視する国であり、かつては中国人留学生が圧倒的に多かったのですが、最近は日中関係や日韓関係の影響もあり、増えていません。さらに、ここ2年ほどは円安の影響もあり、日本に来やすくなった一方で、日本で稼げる額が減ったため、留学生の傾向も変わりました。現在は、インドネシアやネパールからの留学生が増えています。しかし、日本の国力が低下したこともあり、教育レベルの高い国からの留学生は増えず、結果として留学生の質も低下しています。以前は、N1やN2(日本語能力試験の上級レベル)を取得し、日本の大学院に進学する留学生が多かったのですが、今はN2やN3程度の能力で専門学校へ進むケースが増えています。
現在の日本は、客観的に見て「留学する価値がある国」ではなくなってきています。そのため、本当に日本に興味がある人、例えば漫画やアニメが好きな人が来るケースが増えています。つまり、留学の目的が「実用的なキャリア形成」ではなく、「個人的な興味」に戻ってしまったのです。
このように、日本に来る外国人留学生の質は一般的には低下しているのが現状です。

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