ホーム 経営者TIMES
キャリアバンク株式会社 佐藤社長インタビュー Part2

経営者TIMES

2025-03-13
キャリアバンク株式会社 佐藤社長インタビュー Part2
写真左からアインホールディングス 大谷社長、
故・土屋公三元会長、キャリアバンク 佐藤社長
これまでの成功例について教えて下さい。
成功例といわれても私は成功なんか一つもしていないんです。ただ狙った通りに成長できた事業はいくつかあります。例えば、23歳で行政書士事務所を開業した際には、当時の日本が高度成長期にあり、開業が成功する要因が揃っていました。また、キャリアバンクの設立も同様です。人材に係るニーズは高かったのですが、これに高い費用をかけるというマーケットは成立していませんでした。なので起業は10年早かったと思いますが、市場に先駆けて事業を始めたことで、先行者利益を得ることができました。さらに、1997年にアメリカへアウトソーシングの視察に行った際、先程ご紹介した松尾先生の紹介で給与計算のアウトソーシングを手掛けるADPという会社を知り、日本に戻ってすぐに給与計算のアウトソーシング会社を設立しました。その結果、9年で上場を果たすことができました。
それから、2003年に社労士法が改正されました。
社労士資格業が自由競争となった年です。
それまで資格者は事務所を一つしか持てませんでしたが、法人化が可能となり、それによって多拠点展開ができるようになりました。また、報酬の規制が撤廃され、広告も可能になりました。つまり、規制から競争へと移行したのです。この時、私はその変化を十分に理解できる経験を持っていました。そこで、いち早く日本で最初に法人化を行い、東京に事務所を開設しました。現在、社労士事務所は日本に約2万6000ありますが、当事務所は2位の事務所の3〜4倍の規模を誇り、圧倒的な存在となっています。現在、1300人ほどのスタッフで運営していますが、これも2003年の法改正のタイミングが大きく影響しています。
法律も環境も私が変えられるものではありません。しかし、変化のタイミングにうまく乗ることでチャンスをつかむことができました。もちろん、チャンスは誰にでも平等に訪れますが、その時に活かせる立場にいるかどうかが重要です。私は運とタイミングをうまく捉えただけですが、それによって事業を日本一の規模にすることができたり、さらには会社の上場まで果たすことができました。
必ずしも成功例ではありませんが、私の中では、社会にお役に立つような事業を作れたという思いです。
業界動向(御社が携わっている分野で)は今後、どのようになっていくと考えますか?
経営資源は「人・物・金・情報」と長く言われてきました。しかし、現在の日本の経営資源は「人材・人間・人・情報」となっています。再来年には、「人材・人間・人・外国人」と、すべて人間に関わるものになるでしょう。今の時代、物や金、情報は誰もが共通して持っています。しかし、唯一不足しているのが「人」です。これからますます多くの企業が人材確保に苦労することになるでしょう。そのため、人こそが最大の経営課題となっています。
私が経営するキャリアバンクでは、人材ビジネスを通じて企業と労働者の皆様に広く貢献することを目指しています。当社のモットーの一つに、「社会的終身雇用の実現」があります。これは最近の考え方ではなく、以前から掲げている理念です。具体的には、意欲と能力のある限り、年齢に関係なく働ける労働市場を地域に作ることを目指しています。つまり、年齢によって働けなくなるのではなく、働く意欲と能力があれば、いつまでも就労可能な労働環境を整備することが重要なのです。私は年金や健康保険の破綻、実質賃金の低下など、今後の日本の社会課題を理解しています。その中で最も重要なのは「働けること」、つまり「お金を稼げる労働市場を維持すること」です。年金に頼るのではなく、意欲と能力を身につけ、長く働ける環境を整えることが、経済的な安全・安心につながると考えています。そのため、当社では年齢に関係なく働ける労働市場を地域に根付かせることを社会的使命として取り組んできました。さらに、女性の雇用拡大や、ハンディキャップを持つ方々の雇用拡大にも尽力しています。
現在、特に成果が上がっているのが「外国人雇用」です。キャリアバンクは札幌と佐賀に日本語学校を運営しており、多くの外国人が日本語を学びに来ています。日本語を習得した学生たちは、大学や専門学校へ進学し、日本企業へ就職するというルートを築いています。今後もこの事業をさらに拡大していきたいと考えています。また、外国人労働者の就労支援として、通常のビザ取得支援や特定技能ビザの活用を進めています。特に北海道では食品製造業や水産加工業が主要産業でありながら、人材確保が難しい状況にありますので外国人労働者の紹介を積極的に行っています。さらに、飲食業や介護、建設業などの分野にも特定技能の外国人労働者を紹介し、そのスピードを加速させています。その結果、現在では北海道最大規模の外国人労働者供給企業の一つとなっています。
このように、我々のマーケットはまだまだ拡大の余地があります。今後も市場の動向を見極めながら、さらなる成長を目指していきます。
今後チャレンジしたいことはありますか?
まず、一つは日本人のスキルアップです。
現在、日本の雇用や労働市場は非常に流動性が高く、この流動性自体は決して悪いものではありません。しかし、日本人はこの流動性を活かして、より高い給与、短い労働時間、便利な通勤環境や快適な勤務環境を求めて転職を重ねています。本来、転職の最大の目的は「自分のキャリアをいかに高めるか」であるべきなのに、そうなっていないのが現状です。例えば、販売職から観光業へ、飲食業から事務職へと、都合の良いように転職することは可能です。しかし、それぞれの職業において、専門性を持たない業務は外国人労働者に頼るか、あるいはAIによって整理されていくでしょう。人間の仕事は高度な専門性を要するものと単純労働の二極化が進んでいくと考えられます。にもかかわらず、40歳になっても「何でもできます」と言う人が増えているのが現状です。しかし、40歳になったら「これができます」と専門性を明確に示すことこそがキャリア形成の本質です。「何でもできます」と言った瞬間、20歳の若者と競争することになりますが、その競争に勝てるわけがありません。
そのため、日本の労働市場においては、一人ひとりがキャリア形成を真剣に考え、自分のスキルを高めていく為に必死で働く必要があります。これが、これからの時代に求められる働き方であり、私たちの会社としても重要なテーマだと考えています。
次に、個人的なチャレンジについてですが、前回大会のカタールに続き、来年はアメリカ、カナダ、メキシコで共同開催されるサッカーワールドカップを観戦し、今後もオリンピックとワールドカップの観戦を続けていきたいと考えています。私は仕事で年平均10回は海外出張をしていますが、プライベートな旅行で行ったことのない国や街への観光も実現したいですね。

Part3へ続く

arrow_upward